独立行政法人 労働者健康安全機構 浜松労災病院

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よくある質問 詳細

X線撮影時の介助者の被ばくは大丈夫?

まず、X線は電気的に発生しており、しかも1秒以下の極めて短い時間の通電すなわちX線の発生ですので、 放射性物質のようにいつも放射線が出ているわけでないことをご理解下さい。 また、患者さんからの50cmの位置での散乱X線の空中線量は、胸部の場合 で0.8~2μGy、腹部の場合で7~10μGyですが、 防護エプロン (0.35mm鉛当量)をしていると更に1/10以下になることから、介助する場合、 最大でも1μGyの被ばくです。 これは、自然放射線の2.4mSv/年であてはめ ると約1日分の被ばくにすぎません。 被ばく線量がいかに低く、問題とならない線量とお分かりいただけたかと思います。 医療被ばくにおける線量拘束値5mGy(成人)、付き添い・介助者1mGy(子供の訪問者)。

放射線を受けるとがんになるの?

放射線による誘発がんは放射線治療症例の約0.1~1%に発生するとされています。 放射線治療後約10年以降に生じることが多く、発生確率は放射線の線量に依存するとされています。 また悪性リンパ腫の場合は放射線療法を併用すると発生確率が高まるとされています。 このように高線量率の被ばくでは、つまり、数Gy以上の放射線を受けた人々の間からがんが発生しています。 一方、医療における放射線検査被ばくは これらの線量に比べてはるかに少なく、これまで発がんに関する確証は得られておりません。 ここで、現実問題として、頻度の高い胸部X線検査を受けた 場合の肺がんの誘発率を計算してみます。 胸部X線検査における正面方向撮影で受ける肺の等価線量はおよそ0.3mSvとなります。 これは疫学的に影響が出る可能性があるとされている50mSvを遥かに下回っています。

放射線検査は身体に害があるの?

日本癌学会における報告によると、たばこ1本の発がん性は放射線量だと0.01mSv~0.04mSvに相当するようです。 ということは、たばこ1箱の喫煙は胸部撮影1/2~2回と同じリスクになります。 また、アメリカのデータによ るとハイウェイ1マイルのドライブで5.6×10-8の死亡リスクがあるとされております。 これは1μSvの放射線のがん致死量に相当します。 寿命を短縮する原因は、おそらく私たちの日常生活の中で色々な形で私たち の身体に影響を及ぼしているはずです。 例え、放射線被ばくが寿命短縮の原因 であったとしてもそれは多くの原因の中の一つということです。

放射線を受けた子や孫に何らかの遺伝的影響はあるの?

被ばくした本人でなくその人の子供や孫の代になって現れる影響のことを遺伝的影響といいます。 結論から申し述べますと、人間の特定の集団において放射線が自然の遺伝的影響の発生率を高めているとの例はまだありません。 広島、長崎で原爆を受けた人々の子孫や、高レベル自然放射線地域にすむ住民、 あるいは職業上、放射線を受けた人の子供などを対象に多くの調査が行われていますが、 いずれも放射線によって遺伝的影響が発生したという事実、証拠は得られておりません。 一方、動物実験あるいは植物実験においては、放射線被ばくによる遺伝的な変化が明らかにされております。 ここで、ICRP(国際放射線防護委員会)では放射線防護安全上の立場からヒトでも遺伝的影響が発生するという前提のもとで、発生確率を算定しております。

放射線を受けると不妊になるの?

不妊になるかどうかは、生殖腺に受けた放射線の量、性別による違い、女性の場合は年齢によって異なります。 また、放射線被ばくによる不妊には、しきい線量(影響が発生する最小限の線量)が存在し、 卵巣あるいは精巣がしきい線量を超える放射線を被ばくした場合には不妊となる可能性があります。 被ばく線量が多く、卵子、精子あるはその基になる卵母細胞、精原細胞の大部分が致死に陥った場合には永久不妊になりますが、 線量が低く一部分の生殖細胞の損傷の場合は、一時的な不妊になり後に快復します。資料に不妊に関するしきい線量を表示します。 通常の放射線による検査においてはこのような大線量を受けることはまずありませんので、不妊の心配はいりません。 ただし、不妊の原因は複雑であり、放射線を受けたか否に関係なく原発不妊の頻度は世界的にみても10%の夫婦に認められています。